選手紹介 ブルータグ所属のトップアスリートが語る、ここだけでしか読めないインタビュー!

04 桧野真奈美/ボブスレー

ボブスレー/桧野真奈美選手のプロフィール

ボブスレーをさらなるメジャー競技に!より一層のレベルアップを目指して奮闘中。

■ボブスレーを始めたきっかけは?

桧野真奈美 選手/ボブスレー

桧野:きっかけは、たまたま大学に貼ってあったボブスレー選手発掘テストのポスターを見たことでした。もともとはスピードスケートをずっと中学校までやっていました。そこは世界、オリンピックを目指すぐらいのチームですごく厳しかったです。で、その後に陸上競技に転向したのですが、高校3年生のときに体育の授業で膝のじん帯を切ってしまいました。3年間で結果を出そうと思っていたのですが、最後の大会で不本意な結果で終わったまま、競技を終わってしまって。で、大学では思うように体が動かなくなって、小さいころから夢だった体育の先生になれるよう勉強しました。一応陸上部には所属はしていたんですが、なあなあで陸上をやっていました。そんなときにボブスレーのポスターを見まして。コントロールテストを受けて競技者という立場で最後の区切りをつけてたいと思い、たまたまテストを受けました。テストの内容も30メートルダッシュとか、立ち幅跳びとか、陸上の競技を使ったものをだったので受けにいったのがきっかけです。正直、ボブスレーをやるつもりでコントロールテストを受けたわけではなかったのですが、ボブスレーやらないか?っていうふうに誘われました。

■実際にボブスレーに乗ってみた感触は?

桧野:始めは「本当にできるかな?」という感じだったので、実際やってみたらもうすごい、甘く見てたなーって思いました。最初はあまりの恐怖心で、リタイアして帰ってきたぐらいです。カルガリーに行ったのですが、いきなり目の前の人が転んで、救急車で運ばれたのを初めて見てしまいまして。いきなり試練だなと(笑)。そりの操作については、今までの人生でまったく経験しない感覚でした。どれぐらい引っ張ったらそりが動いてとか、どれぐらい引っ張ったらこういう軌道になって、とか。ほかに似ているものがまったくない。車の運転でもないし、それが分かるまでは苦しかったです。でもやっぱりそれぐらい命かけてやる競技なので、成功したときっていうのはほんとに充実感や達成感があります。

■まったく初めての感覚だったのですね?

そうですね。自動車ともジェットコースターとも違うし、あえて例えるなら自分で運転するジェットコースターです。ジェットコースターはレールがついているので絶対安全じゃないですか?ボブスレーは自分で飛んでいっちゃうので。そういえばこの競技始めてから、ジェットコースター乗ったんですけど、もう遅くて遅くて(笑)インアウトとかもいっぱいいろいろあって、スピード出すためにはハンドル逆に切ってポロンって上げてから、スピード加速させるとか、細かい技術が要求されます。外国人コーチのロブという人がいるのですが、カーブを見て、あと5センチ右に寄せてこいとか、あと10センチ高く上げないと、とか細かい要求をされます、そういうことをやっていかないと滑れない、勝てないです。実際のレースは1分くらいなんですけど、1分にすべてをかけて、コーナーを最高速度で滑り切れるようにしていかなければなりません。危ない競技だからやっぱり怖いですけど、とにかく、すごく強い気持ちでいかないと全然滑りきれないし、気持ちがとても大事な競技だと思います。一応言っておくと、私は別にスピード狂でもないですし、普段の車の運転はすごく激しいとか、そんなことはありませんけど(笑)。

桧野真奈美 選手/ボブスレー

■その後はいかがでしたか?

桧野:当時はすごいわたしのテクニックがものすごく下手で。当時のそのナショナルチームの監督からはもうほんとに、素質ないから辞めたほうがいいって、言われました(笑)。でも、もうそれで帰ろうと思ったときに、当時のチームの第一線の選手から、もう2週間残って自分が教えるからやってみないか?って声をかけてもらって。それまでは嫌だったんですけど、その方はすごく雲の上の存在のような選手だったので、じゃあ2週間やりますって言ってみっちり教えていただきました。それで少し滑れるようになりました。そういうすごい人から教えていただけたので、自分はラッキーだったと思います。とにかく最初は、もうほんとにきょう生きてられるかどうか分かんない、という恐怖心から始まっているので、あれ以上怖いことはもうないと思います(笑)。

■いままでで印象に残っている大会はありますか?

桧野:やっぱりトリノオリンピックっていうのはすごく印象深いですね。初めて挑戦したオリンピックでした。女子で日本人初のオリンピック出場、というのが目標だったので。ソルトレイクはそれがかないそうでかなわなくて、膝の手術を4年間して、トリノに絶対出ようと思い、ようやく実現できました。出場する前は、オリンピックっていうところはどんなところなのかな?って思っていたんですけど、実際に行ったら不思議と今までのことのほうをすごく思い出しました。例えば滑走する前に、もちろん勝ちにいくつもりで行ったし、結果を残すつもりで全力を尽くしたんですけど、どんなに緊張するのかなとかって思ったら、それよりこんな人にお世話になったなとか、こんなこと大変だったな、お金のこととか大変だったなとか、あの時辞めないでよかったなとかって、そういうふうに思うことに自分がびっくりしました(笑)

桧野真奈美 選手/ボブスレー

■それまでの苦労を思い出した?

桧野:そうですね。やっぱりお金がかかる競技なので、本当に。だからもう自分1人じゃ全然できなくて。支援していただいて、さらに自分たちでもTシャツをつくって、それを買っていただいたりして、それを競技の遠征の一部にさせてもらったり。それが広まって、オリンピック、トリノのシーズンは3,000人くらいの人が買ってくれたんです。もうほんとに辞めなきゃ駄目かなって思ったことが何回もあって。その毎年の繰り返しだったので。私自身もじん帯が切れたまま5年間も競技をやっていたので、やっぱ膝もすごい調子が悪くて。車椅子の生活も経験しました。競技をする以前に、マイナスのところから日常生活を送れるまでに戻す大変さを味わいました。そんな中でも周りの人に支えてもらって、また競技ができるようになったこととかを思い出しました。

■実際のレースはいかがでしたか?

桧野:スタートの直前は、今まで続けてこられて良かったなぁと今までありがとう。という感謝の気持ちなのですが、ゴールした瞬間には、ああ絶対このままでは終われないってすごく思いました。世界で16チームしか出ていない中で、15位だったので。ほかの国は毎年何千万もお金かけてそりを開発したり、ワールドカップも全部転戦しているような状況でしたが、わたしたちは数年前のそりを使いました。金銭的な問題で遠征も、全部で10戦ぐらいワールドカップがあるうちの、年間3戦ぐらいしか回っていませんでした。

桧野真奈美 選手/ボブスレー

■かなり厳しい条件だったのですね?

桧野:そうですね。同じ条件で戦うことはできなかったんですけど、オリンピックに出ることがもうほんとの最大の目標だったのでスタート前はやっていてよかったなーって思ったのですが・・・ゴールした時には自分でもびっくりするような悔しい感情が湧き出てきました。バンクーバーまでにはもっと態勢を整えて、今度は出るのが目標じゃなくて、他国と同じ土俵に立って戦いたいと思っています。

■今後の課題はいかがでしょうか?

桧野:今はやっぱりバンクーバーのことが一番ですね。バンクーバーで結果を残すことが今後のボブスレー界にとっても重要なことだと思いますので。でもそれをプレッシャーに感じることなく、一生懸命やりたいと思っています。この競技にはプッシュタイム・中間タイム(滑っているところ)・ゴールタイムなどが設定されているのですが、プッシュタイムが世界レベルではもうほんとビリに近い状況なんです。で、ゴールタイムで、15位前後です。。。。滑っている中間タイムでは1桁に入ることもあるので、その他の部分をチームメイトと一緒に、私自身もっと縮めたいと思います。また、体重がすごく必要な競技なので、もっと体を作りたいと思います。あまり、重くなりたいなんて女性はいないと思うのですけど(笑)そういえば今シーズンは新しいそりも用意したんですけど、もう全然違います。なので、いろいろな課題をなんとかクリアしていきたいと思います。

桧野真奈美 選手/ボブスレー

■環境的にはいかがですか?

桧野:たとえば選手発掘の面からいうと、ドイツなどは、ボブスレー連盟が陸上連盟としっかり連携をとっていて、陸上の有力な選手たちがボブスレーのほうに取られてもいけるような環境づくりができています。日本も、そういう関係ができたらいいと思います。でも総合的な環境としては、トリノ五輪の前あたりから比べると少しずつですがよくなってきています。そりも新しくなったり(笑)、テクニカルコーチも専属の人がついたり。簡単にここまではいかなかったのですが、着実によくなっています。なので、私たち選手自身もさらにパワーアップしなきゃいけないですし、いい意味でのチーム内の競争環境も作っていかなきゃいけないと思います。

■話は変わりますが、オフの時間は何をしていますか?

桧野:結構DVD見ますね。日本から、プレーヤーと一緒に持っていきます。あと、ヨーロッパとかは車移動なので、CDに曲をいっぱい入れていきます。もうこれは絶対必需品ですね。何十時間も、2日がかりで次の国に移動するので。日本の歌を聴いたり、逆に、他国のラジオでいいな、と思った曲をあとでリサーチしたりして探したりします。ディスクにはかなりお世話になっています(笑)

桧野真奈美 選手/ボブスレー

■かなり厳しい条件だったのですね?

桧野:わたしも始めたとき、ボブスレーって聞いてまったく知らなかったので、そういう方がほとんどだと思います。全然マイナーな競技ですけど、知ってもらえたらなと思います。そのためには成績を出さなかったら知ってももらえないと思うので頑張りたいです。まだ、全然出られるとか確定はしてないですけど、ぜひバンクーバーに出場して、とにかく見ていただければと思います。