ラートの器具はどのように保管されるのですか?

丸いままで保管することが器具にとってベストです。私は2台所有しているのですが、やはり大きいので4分割にした形で保管しています。玄関を入ったらラートがバームクーヘン状に切ったような感じで置いてあります。2台分なので、パーツにして8つですね。スペースにして奥行き1m、横幅2mくらいのスペースはとっていますね。できたら立てて置きたいのですが、自宅で立てることはちょっと難しいので。ちなみにラートは鉄の棒の周りに合成樹脂が巻かれてている素材です。ドイツ製ならば芯はステンレスですね。

その他の器具についても聞かせてください。

はい。まず足を固定するベルトと、靴が必要です。ラートの動きの一つに足だけを固定して回る技もあるので、靴はすごく重要になります。私の足のサイズは24.5cmなのですが、試合では足が靴の中でずれるのを防ぐために小さ目の靴を履くことにしています。服装は、競技会では体操用レオタードを着ます。メーカーは日本もありますが、私はフランス製のものがお気に入りですね。これは、たまたま私が欲しいような物があったのですが、自分でいろいろデザインをアレンジすることもありますね。ラートの器具については残念ながら、競技会では装飾することができないのでそのまま使います。もちろんショーであれば、その点、自由なので可能性は何倍にも広がると思います。

いろいろと大変ですね。

そうですね。でも、まずは見ていただいてラートというものの魅力を伝えていくことが環境の改善にもつながっていくと考えています。確かにラートの器具って大きいし、スペースも使うんですけど、とても静かなスポーツだし、安全なスポーツなんですね。見て楽しい要素もたくさんある競技なので、一回見ていただいて理解を得ていきたいと思います。口で説明するとどうしても限界があるので、とにかく見てください!

ラートをする際には、結構筋肉は使うのですか?

はい。全身の筋肉を使います。体操競技と似ている部分がありますね。上半身の筋肉は積極的にしないとつかないので懸垂や倒立、上半身中心のトレーニングは積極的にしています。それと怪我の予防に体幹トレーニングを。 ウエイトトレーニングはそこまでたくさんしないですね。回りながら全身運動が出来ていて、筋肉を引き締める意識は持ちながらやっていますが、筋肉を使っている自覚症状が少ないところが良いところかな、と思っています。なので、気がついたら必要な部分の筋肉が程よくついている、という感じです。筋肉とは少し違うのですが、平衡感覚も必要です。一回廻ってみると、自分の位置感覚っていうのが分かります。最初は自分がどこに居るんだろうっていう感じになってしまうんですけど、続けていくと自分が今ラートのここら辺に居るから、体重をこっちに移せばいいってことが分かってきます。そこが面白いところです。

日常生活などで、ラートに近い感覚を味わえることはありますか?

私はやったことがないのですが、スノーボードですね。ラートの斜転という種目に似ているそうです。斜転という種目は片方のリングのみを床に接地させて、斜めに廻る競技で、足を固定したまま、面を切り替えたり、体重を移動しながらコントロールするところが、すごくスノーボードに似ているそうです。
私もスノボをやってみたら、案外上手かもしれません(笑)

ラート競技の際の曲はどのようなものがありますか?

ラートはゆっくりめの曲の方が演技はしやすいですね。でも、これは個人の好みで選んで全く問題ないので、人によってはスピーディな曲やコミカルな曲を使う人もいます。競技会の際には、音楽点、Music scoreという点数配分があって、技や演技全体のオリジナリティと、例えばその曲のなかで「ジャーン!」と盛り上がるような音が出たときに、演技上も「ジャーン!」という雰囲気の盛り上がるような動きをみせないと減点になります。事前に曲の申告などはしないのですが、審査員の人が「ジャーンと聞こえたのに、ジャーンしてない」という判断を審判はするようです。すみません、「ジャーン」ばかりで(笑)

「この競技でやっていける」と感じたのはいつ頃ですか?

高校1年生頃からですね。全日本選手権に初出場したことが大きなきっかけだったと思います。その試合で直転という種目で7位入賞をして、それが自信になって、やっていけるかもしれない、と。今でもその初出場の全日本選手権は、すごく記憶に残る大会になっています。当時は予選もなかったし、「出たいです」って言えば出られる時代でした。今は協会が定めた予選に出場するための基準があって、予選があって決勝戦があるという形になっています。

その後、ついに日本代表として大会に出場されるようになったということですね。

はい。初出場は2003年のノルウェーで開催された世界選手権で、ジュニアのカテゴリー(18才以下)で出場しました。ノルウェー入りする前にドイツのフレンスブルグというところで一週間トレーニングと親善試合を行って、それからノルウェーに移動して大会に臨みました。初めての海外でもありましたね。その後ジュニアからシニアに上がっても、二年に一回開催される世界選手権に日本代表として出場を重ねてゆくことができました。

その後、ご自分に変化などはありましたか?

そうですね。ラートの世界レベルに触れて、もっとラートを上達したいと思ったと同時に競技大会に出るだけではなく、もっともっとラートをたくさんの人に知って欲しいという思いが強くなって、そのためには何ができるのだろうかと考えました。そして大学を後期から休学して、まず、たくさんの人の前に生で見てもらう、知ってもらうということに挑戦しました。具体的にはアクロバットダンスカンパニーに所属して、舞台やショー活動をやりつつ、競技もやりつつという風に環境を整えていきました。ダンスやエアリアルの練習をしたり、ラート以外の練習を筑波から東京のスタジオに通いながら、競技生活、大学生活と両立させながら行っていきました。その頃から『人に魅せる』という意識が強くなっていきましたね。